17回   2008.Apr.03

金子信造   

実技演習

 前16回で稽古での自然な受けをとることの大事をいった。

合気道では技の名は、頭に取りに対する攻撃名がついている。正面打ちとか片手取りとかである。型稽古は受けの取りへの攻撃から始まる事を示している。まずこれが武道として正しい、あるいは理にかなった攻撃である事が、自然な受けの前提になる。

 武術としての身体操法の深浅はあるとしても、例えば、正面打ちの場合切り下ろした手刀を、取りが三角体でかわすからといって、かわされたら力余って前方に自分から崩れるなどということはない。かわされれば二撃、三撃できる体勢を保って攻撃するのだが、取りが受けの手刀を、すり上げる、或いは切り下ろすなどで受けの中心をついてゆく事によって受けは崩れる訳である。突きの場合も突きっぱなしで腕を差し伸ばして、取りに腕を捕らせる為に突く訳ではない、突きは外されれば引いて二弾、三弾できるように突くのである、空手の流派では突き三分引き七分と、引きの速さを教えているぐらいである。武道の修行であるから、習熟度の違いはあろうとも、身体の操法は重心を丹田に収め安定した態勢で行なうよう心がけるのは当然である。その態勢を取りが捌いて受けの中心を取り、受けの重心を我が重心に一致させる、つまり取りと受けとの触れ合いから、両者一体となった構造のなかで両者の重心は取りの重心一点となり、受けは取りの重力移動に連れて「喜び勇んでついてくる」(開祖)のである。

 片手取り、交差取りなどでは取りの攻撃、例えば受けに向かっての刀の振りかぶりや抜刀を封じるために、受けは取りの腕を取るのである、簡単に取った腕を放せば切られてしまうから、振りほどけないように取る。取りが刀を持っていなくとも心構えは同じで、離せば当身が入ると心得るべきである。受けがさわっているだけで、取りが転換したら離してしまっているという光景を見ることがある。転換で受けが取りの腕を離したらすかさず取りの当身が入るか、切られてしまう。取りが手解きを施せば受けの握りは解けるが、そのことなしに離してしまうのは不自然である、自然に受けなければ稽古にならない。

 

今回は 片手取り呼吸法           交差取り一教

        一教                二教

        四方投げ              小手返し

        入り身投げ        を稽古し、次回以降隔離の技、正面打ち

                     横面打ち、突きなどを学びたいと思う。

了   


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